たまにはまじめなことを…。
先日会議で上がったケースについて。
昔のケースなので,私はクライエントさんご自身のことは知りません。
当時私たちの機関にやってきたAさんは中学生。支援級在籍のお子さんだったそうです。
このまま支援学校の高等部に進学するかと思いきや…
Aさんは,都内の偏差値が低めの私立高校に受かり,そこへ進学したそうです。
(ちなみに公立では,工業高校がギリギリ厳しいんじゃないか…というくらいの力の方。)
こちらとしては「えっ,支援学校じゃないんですか!?」と思ったそうで。
しかし。
その私立校はすんごく生徒の面倒見が良いところだそうで,仲の良い友達もでき,今ではAさんはとっても充実した学校生活を送れているそうです。
大学は難しくても,Aさんの関心のあることが学べる専門学校などに進めば,就職にもつながるのではないか…
という話でした。
私(たち)は,彼・彼女のご様子や能力を総合的に見て,どういった学びの場が適しているかを考えることがおしごとのひとつです。
通常級より支援級の指導が適していればそちらへ,支援級より支援学校の指導が適していればそちらへ…というふうに考えます。
高校には支援級はありません。なので中学の支援級→支援学校の高等部という流れは当然あるのですが,支援学校の高等部に進学しても,高卒扱いにはならないという決まりがあります。
「高卒」という資格がなければ,当然上級の学校にも進学できません。その先の生活は障害者枠での雇用か,在宅か,別の居場所か…ということになります。
つまり,同じ「高校生」でも,通常の高校か支援学校の高等部かによって,かなり進路は変わってくるのです。
知的能力や行動の面から,いくら私たちが支援学校に適していると思う場合でも,そのお子さんに合った高校を選び,お子さん自身が環境に適応できることで,こんなにも人生の選択肢が広がるんだなと感じた事例です。
支援学校を勧めることが良いとは一概には言えないのだと,感じさせられました。
そしてもうひとつ。
この事例から,「じゃあお金があって普通校でやっていけそうな可能性がある場合は,私立に行けばいいのか」という問題が出てきます。
もしAさんのお家にお金がなく,私学へ行く資金がなければ,Aさんはおそらく公立の特別支援学校へ進学したことでしょう。
その先の進路は,既に書いた通りです。
お金のあるなしで教育の質が変わるのは確かですが,こういう部分にも経済格差はあるようです。
No comments:
Post a Comment