「もう限界でした。親子を装うことも,私を新しい人間として育てることも。いつの間にか時代に追い付かれ,置き去りにされ,何もできないまま色褪せていくのが耐えられない。そう言ってお酒をあびるほど飲むようになりました。」
「私はただ,親子としてあの人と東京へ行く。その時間を取り戻したかっただけです。満員の地下鉄であの人の腕につかまるたびに覚えた,あの痺れるような思いを,もう一度…確かめたかっただけです。」
『聞こえない方の耳で聞いてくれ。俺は結局人民の中はおろか,生活の中にも入ることができなかった。俺は一生を棒に振り,人生を破産した。だが逃げたんじゃない。戦ってきたんだ。でも俺はもうただの人間になりたいんだ。』
「父さん。」
『俺は父さんじゃない。』
「私はあなたの娘よ。私を作ったのはあなたよ。」
「どちらでもいいんです。無実と無罪が別なものであることを私は教わっています。それに私達のことは最後まで,私達にしかわかりません。」
坂手洋二作品のせりふ。
20代になってから,一層思い出すようになったせりふ。
逃げたんじゃない,戦ってきたんだっていうせりふが,私はとても好きなの。
時代に追い付かれ,置き去りにされ,色褪せていくのって,このブログのようだなと,いつも思っています。
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