Wednesday, February 11, 2015

関東大会に行ってきた!2015 ~南北合わせて22校観たから,勝手に○○賞!~

さて,約3週間弱かけて,南北の関東大会の感想をmemo/かんげきにupさせていただきましたー。長い道のりだった…(´▽`)

南の関東大会はアタマから数えて10校,北の関東大会は全部観てしまいました。(いい年して,いい年して…。)
同じ「関東大会」と言っても,やっぱり都県それぞれに特徴があって,南北で全く違う個性が感じられたのも面白かったです。

せっかく22校観たので,長野県大会に引き続き審査員ごっこをしちゃいまーす!笑
カサハラリカさん的○○賞を挙げて,関東大会の大きなまとめとしたいと思いますそれではどうぞー!

◇最優秀作品賞
神奈川大学附属高校『恋文』
→私の心の中で,浜松海の星高校と最後の最後まで競っていました…。作品の作り方としては共通している部分があるんです。それは,ここまでドンピシャリなキャスティングをしているということと,楽しんでお芝居しているのがこれでもかというくらい伝わってくること。神大附属は,当て書きかと思うほどのキャスティングに加え,個が本当に立っていました。題材は2010年代らしいのかもしれないけれど,その表現がこの時代にあえて!?と思うくらいどストレート。現代に足りない何かを見せてくれたような気がしてなりません。

◇優秀作品賞
浜松海の星高校『大正ガールズエクスプレス』
→エンターテイメントってこういうもののこと!ストーリーでぐいぐい引き込まれたのはもちろんですが,個を生かしたキャスティングや,“ここは魅せるところ”という切り替えが巧かった!小道具や衣装への美の意識もものすごく感じました。さらに音楽。狙って作っているシーンがめちゃくちゃ格好良くて,このお芝居にならお金を出していいと純粋に思いましたし,幕が下りた後なぜだかすごく悔しくなりました。「やられた!」って。本当に満足度の高い作品でした。

静岡理工科大学星陵高校『ブルーシート』
→息ができなくなるほどの圧。その圧で,涙が出そうになりました。悲しいとか感動とかではなく,ものすごい勢いで,この作品が私に迫ってきたから。彼らにしか見えない,彼らだからこそ見える風景とか,ぐちゃぐちゃした思いとか,生きるってどういうことなのか,「今」って何なのか。だけどここにいることを証明したい。覚えておきたい。彼らの津波のようなエネルギーが,舞台中に溢れてました。あと,登壇するところから始まるのが素敵。

東京都立桜町高校『死刑囚のπ』
→この題材に挑んだ桜町高校と顧問の先生をリスペクト。東京に生きる高校生達だからこそ生まれた作品だと思いました。欠落した何かを抱えながら生きること,それなのに一方で情報過多であること,そんな混沌とした世界の中で自己を確立しなければならないこと。そのために何かを愛したいし,愛されてここにいていいことを実感したい。それが難しい世の中なんだなということがヒリヒリ伝わってくる作品でした。感想にまとめがたい,だけど忘れられない衝撃が走った作品。

埼玉県立秩父農工科学高校『D-パラダイム』
→顧問の先生が替わっても部員が替わっても,学校として一定のクオリティを保ち続けていることがどんなに大変なことか。さらりとやってのけてしまうこの学校に,高校演劇のあゆみとこれからの希望が詰まっている気がしました。現実に直面できない心の脆さ,感覚鈍麻になって忘れないと進めない現代のスピード,2010年代だから出てきた作品だと実感。民主主義に流された先もちょっぴり見えた気がして,恐ろしいと感じた作品でした。

長野県松川高校『べいべー』
→一度観たけれど,やっぱり脚本を使って自分達を魅せる術を知っているあたりはさすがです。全作品中,一番安心して観ることができました。このメンバーで観ることができて,本当に満足です。長野県が今できることの集大成が,この作品なんだろうとも思います。


◇最優秀男優賞
静岡理工科大学星陵高校『ブルーシート』シガタツ役の方
→この作品に出てくるひとはみんなインパクトがあったのだけど,中でも目を引いたのは,緑のパーカーを着たシガタツ。バットをレイナに向けるところ,「人は,見たものを,覚えておくことが,できると思う。忘れることが,できると思う」のインパクト,「お前のことは知らない。だから好きじゃない」のインパクト,言葉でなくて踊りで表現する圧。タッパがあるから見栄えもよくて,声も必死で。忘れがたい存在です。


◇最優秀女優賞
浜松海の星高校『大正ガールズエクスプレス』田辺よし子役の方
→この方の地声を聞いてみたい…!第一声から引き込まれました。キャラクターが本当に生き生きしていて,いつの間にかよし子ちゃんのことを心の中で応援している自分がいました。表情,声色,弾けた動き…本当に魅力的な方でした!あと,二人羽織したときの手や指のしなやかな動きが美しくて,うっとり!


◇創作脚本賞
千葉県立成田国際高校『繭の中』
→3.11系の作品の中でも,かなり新鮮で面白い切り口。2人芝居なのに喋るひとは1人しかいないという覚悟もすごい。登場人物の8人を通して,たった1人をあぶり出していく作りが面白かったです。


◇演出賞
神奈川大学附属高校
→出はけの絶妙なタイミングや,「ちょっと立て」なんかの狙ってる芝居,登場人物がバタバタしている姿や本気で相手に接する潔さが,観ていて気持ちよかったです。巧妙という言葉はこういうものに使うのでは!


◇音楽賞
浜松海の星高校
→作品の世界観をうまく表現している!きっと音源を聴けば,作品を思い出すんだろうなと思います。作品の世界に引き込む音楽,作品を象徴する音楽,きちっと筋が通っていて素敵!かっこよかった!


◇衣装デザイン賞
浜松海の星高校
→キャラクターの個性に合わせた袴や着物があれだけ揃うなんて。よし子ちゃんのオレンジ,千世様の着物の色,マリ子ちゃんのチュールスカートなどなどなど…本当に合ってました。文句なしです。


◇視覚効果賞
東京都立桜町高校
→22作品中唯一,たっぷりとロスコを使っていたり,デザインの照明(羽根のような…)を使っていたり。何といっても延々と続く円周率を生で白パネルに書いていくあたりはかなりのインパクトでした。そう。視覚効果で生を感じることができました。


◇舞台美術賞
静岡理工科大学星陵高校
→後ろの瓦礫が象徴的。美しいとも思ってしまった。あの中に,善も悪も生も死も,全て詰まっているんだろうと直感的に感じました。


+++

やっぱり今回も偏ってしまった気がしてなりませんが,私の心揺さぶられた部分を細かく書き留めておきたかったので,記しました。これが南北それぞれだったらまた多少違ったと思うのですが,それだと片っぽのブロックで選び出せない可能性もある&関東大会としてまとめたかったので,こんな感じにしました。


そうそう。ここで,以前から言っていた地域の特性について,北関東の分と神奈川について自分なりにまとめてみたいと思います(ちなみに南関東についてはこちらで述べてます)。

北関東に出場した長野埼玉群馬栃木新潟,そして南と合わせて神奈川。どこも特色がありました…。

長野は,在るものに対して実直に向き合っていて,エネルギーの方向が外向的というよりは内向的。外にも関心はあるけれど,自分の内面に焦点がある感じ。

埼玉は,都会のど真ん中ではないけれど適度な引っ張り具合があって,遊び心を持って生きてる様子が伝わってきたし,

群馬は,地域や古典のような歴史的なものを自分達に寄せて自己を見つめているように思えたし,

栃木は,大人に惑わされずに,普遍的な高校生の視点から気になるものを焦点化していく姿勢が見えたし,

新潟は,冷たい日本海や山からの風に吹かれながら,良くも悪くも閉鎖的(←外に出られるまでが大変という意味で)な世界で生きているというところが感じられたし,

神奈川は,静岡とは違う太平洋の開けた感じがあって(静岡よりも,海の向こうに相手がいることをもっと意識している感じ),大人数の関係の中で揉まれながら生きていることが伝わってきました。


新潟を見て,山梨と近いものがあるなーと思ったり(外に出る・壁を越えることが大変),群馬と栃木は良い意味で振り切ってるなーとか,神奈川と静岡は海に面していても目指す方向が全然違うなーとか,いろいろ思いました。
面白かったです!

あと,たとえば長野で言うと,関東まで行くと「長野県」としての特徴が見えるけど,県大会だと「各地区」の特徴があるんじゃないかと,振り返ってみて思います。北信とか東信とか中信とか諏訪とか,2校選ぶところは特に。その場でしか見えないものがあるし,その土地の文化を吸って吐いて生きているひと達が作っているんだなーと,しみじみ思いました。既成であっても創作であっても,その土地・その学校だからそういう芝居ができる,というものがあるんだろうと思います。

はいっ,一応これで関東大会に関する記事はまとめられたかなーと思います。
長々とお付き合いくださりありがとうございました。

念のため書き記しておきますが,私は熱心な高校演劇ファンというわけではありません。今年度はちょぴっと気合いを入れてしまっただけです。明日は普通にNODA・MAP観てきます。
でも,高校生のお芝居ってパワーもらえますね。大人でも子どもでもない,高校生の力って本当にすごいなぁと改めて思いました。
彼らに負けず,私も日々生き延びていきたいと思います。

おーわり。

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