“挫けるのを恐れて 踊らない きみのこころ醒めるのを恐れて チャンス逃す きみの夢奪われるのが嫌さに 与えない こころ死ぬのを恐れて 生きることが 出来ない”
スタジオジブリの『おもひでぽろぽろ』の主題歌,「愛は花,君はその種子」。
映画自体は小学生のときにテレビで観たことがあるけれど,
きちんと,きちんとこの曲を聴いたのは大学生になってからだった。
東京から松本まで高速バスに乗って帰っている途中だった。
ジブリの主題歌集みたいなものをウォークマンに入れて,ナウシカから順に聴いていた。
なんてきれいな詞なんだろうと思った。
あとで,元々この曲は英語で詞がついていて,高畑勲が訳したものだと知った。
オリジナルの英詞を大切にして,非常に丁寧に訳してあった。
高畑勲の美しい日本語の組み合わせに心が洗われた。原曲は「The Rose」だけど,「バラ」とかじゃなく,単純に「花」と訳してあるのが好き。いい。
山下ヤスミンちゃんがこの曲を歌っているのを知ったのは,今年に入ってから。
確かこの曲か何かをYouTubeで検索してたら出てきた。
驚いた。なんて実直に歌っているのだろう。
当時10歳らしい。聴けば子どもが歌っているものだということはすぐわかる。
子どもの声。なのにこんなに胸に響くのはなぜだろう。
仮に日系ブラジル人で日本語は話せないなんて情報がなかったとしても,私はこの子のこの歌に心が動かされただろう。
低音がちゃんと出ると表現すればいいのか,深みがあると言えばいいのか。
この子の魅力をうまく言葉にすることができない。
音を外していないところと言えばいいのか,変にリズムを崩していないところと言えばいいのか。
この子の魅力をうまく言葉にすることができない。
「死ぬのを恐れて 生きることができない」
それはきっと私だ。少し前の私だ。
失うことを恐れないで,生きていけたらいいのに。
老いていくことを恐れないで,生きていけたらいいのに。
生きていることに,絶望したくないのに。
きっとこれからも,しっとりしたい夜なんかに聴くんだろうな。
そうしてふとした瞬間に,アタマの中で再生されるんだろうな。
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